アダルトチルドレンの回復

アダルトチルドレンの回復
方法と考え方の大切なプロセス

アダルトチルドレンの方は自分自身について誤解してしまっているケースが多くみられます。自身の事を『無力な自分』『ダメな自分』と思い込み、負のループから抜け出せなくなってしまっているのです。

アダルトチルドレンのみなさんは、この思いに苦しめられ回復を難しくしています。アダルトチルドレンからの回復はこの間違った自己イメージを、「ありのままの自分でOKなんだ」「私はOKなんだ」へ変わって行くことです。

アダルトチルドレンを理解する

アダルトチルドレンの持つトラウマは、その出来事自体が今も自分を苦しめる、というより「それをどう解釈したか」が記憶として残っているのです。
それが自分についての誤解です。 「自分はダメな人間だ…」「無力な自分・・・」

アダルトチルドレンからの回復の向けて大切な事の1つはは、「あの事があったから、こんな考え方になってしまったんだ…!」と、アダルトチルドレンのきっかけに気付き、理解する事です。

セラピーで落ち着く観葉植物

1,理解

本来の家族のコミュニケーションの在り方や家族の関わりを理解していきます。機能不全についても理解していきます。

#
#

2,振り返り

「人が怖い・怒られるのが怖い ・コミュニケーションが苦手なのは どうして?」「安心できる家族だったかな?」「私に何が起きていたの?」

#
#

3,気付き

「今の生きにくさは親との関係性が原因なんだ。自分はダメじゃなかった。」「“しつけ”でも叩くのは行き過ぎてたんだ。怖かったり、いやだと思ってよかったんだ!」

#

『機能不全、あるいはマルトリートメント(不適切な養育)のある家族、環境の中で育ってきたことで、物の見え方や感じ方、捉え方に歪み(認知の歪み)が生じてしまいます。それを理解し、「苦しい生き方の癖ができちゃったんだ…自分の考えを持っていいんだ!」という事に気が付くと、

『自分は力があったんだ!こんな大変な日々を、それでも生き抜いてきたんだ!ダメじゃなかったんだ!』

と、自分自身に対する見方が変わり、自身への誤解が少しづつ解けてきます。

といってもアダルトチルドレンを回復
するのは難しい…?その方法は?

アダルトチルドレンの理解をしたのち、もう1つの大事なプロセスがあります。

【安全な場所の確保】
【グリーフ(嘆き)】
【人生のスキルを学ぶ/健全な人間関係を作る】

この3つのステージを行きつ戻りつ、螺旋階段を上るように歩みを進め回復を目指していきます。不安があっても大丈夫です。カウンセラーと一緒にゆっくりと少しずつ進んでいきます。

ステージ1:安全な場所の確保

自分の居場所を作ろう

AC(アダルトチルドレン)の方々は、人生最初の愛着関係を築くところで傷ついています。ですから、無意識のうちに自分を守ろうとする防衛反応が出てしまいます。常にストレスの中にいますから、「闘争?か逃走?または固まる」で脳が反応しています。それで、対人関係もスムーズにいかないのです。
そしてAC(アダルトチルドレン)の人たちは、育ってくる中で自分が落ち着いて「自分」でいられる場所を持てなかった人たちです。そのため、特に初めての場所や初対面の人に対する緊張感が高いのです。

人は、安全感、安心感を得て初めて、本当の自分の感情を感じ表現することができるようになります。 ですから、何よりもまず、安全な場の確保から始めてみてくださいね。

セラピストを探すときも、「この人なら話しやすいな」と思える人を選んでくださいね。

#

ACの方は、つい「いい子」をやってしまうので、「1回会ってしまったから、続けなきゃ」などと気を使い過ぎる必要はありません。自分にとって話しやすい、分かってくれそうなセラピストを見つけたら、じっくり信頼関係を築いていきましょう。本当の信頼関係を築いていくのも、1年半かかると言われています。ですから、焦らず進んでください。

感情を取り戻す

家族トラウマを生き延びて大人になったACアダルトチルドレンたちは、生き延びてくる過程で「感じる」という感覚と、それをありのままに表現するという自由を犠牲にしてきました。

ありのままに自分を表現するとは、心配したり、臆したりせず、自分の思ったことを表現することをさします。

成長する過程で、感じる力や自由な表現を失ってきたということは、自分自身の言葉を持たないという生き方をしてきたということです。
つまり、他の誰かに属していないと生きられないということです。まるでエコー(こだま)のように誰かがヤッホーと言ってくれないと自分からは何も発することができないのです。
それは、すなわち自分自身を押し殺して、人の意向によって自分のとるべき態度を決めると言うことになります。

ACの方の中には、「余計なことは言わない方がいい」と思っている方も多いのです。確かにその方が、叩かれたり、怒鳴られたりしないと考えてのことです。 実際その方が安全だったということです。
しかし、それこそが傷みです。

そうすると常に人の顔色を気にしてその人の欲求を読み取らなくてはいけません。その欲求を読み取れなければ、孤立してしまいます。だからいつもお母さんの顔色を読み取ろうと必死でしたね。しかしそのために、自分が感じること、自分が言いたいことに気づかなくなったのです。
そのために、対人関係、コミュニケーションに支障が出てしまったのです。だからこそ、まず感じる力を取り戻していくことが大切です。

ある方は、グループセラピーに通い始めて1年近くたった頃「初めて自分が今、緊張していることが分かるようになった」と言われました。「緊張しなくなった」ではなく、1年してようやく緊張していることに気づいたのです!!ACの方はそのくらい、「自分の中で起きていること」に気づけなかったりします。気づいているつもりでも本当は自分を「感じていない」のです。
これは、苦しいはずです…

「こう感じるべき」「そんなこと思ってはいけない」と思ってきたものが、「リアルに感じても大丈夫」、「ここに居てもいいのだ」と思えてきたら、それが本当の安心感です。

ステージ2:グリーフワーク(嘆きの仕事)

重荷を下ろす

安全な場を確保したら、「自分に何が起きていたか」を知っていきます。自分の家族を客観的な目で眺めて見るのです。
自分のトラウマを認識し、それを受け入れていく段階です。
「自分の生きづらさは、機能不全な家族に育ったことによるものだった…」「自分は悪くなかった…」、性格が悪いから、努力が足りないからと自分を責めてきたけ れど、「自分に責任はなかった…」「自分はACだったのだ…」とAC自覚をもつことで、背負い続けてきた重荷を下ろすことができます。
そして、自分を縛っていたもの、トラウマの影響により、自分はどんな「生きづらさ」を持ってしまったのかということを知り、「失われた自分の過去を、あるいは得られるはずのものが得られなかったこと」を嘆いていくのです。

この時、私たちは以下のようなプロセスをたどります。
否認 → 嘆き → 怒り → うつ → 受容 

多くの方が、自分の育った家庭、環境が機能不全だと気づいていないことがあります。

機能不全があまりにもいつもの日常なので、それが虐待なのだと気づかないこともあります。ですからその否認の壁を打ち破り、それを受け入れていきます。自分の生まれ育った家庭が、思っていたほどには良いものではなかったと受け入れていくのは、つらいことかもしれません。ですから、受け入れる悲しみがやってきます。その痛みを嘆きます。

いっぱい涙を流すときです。

嘆いた後は「怒り」が出てきます。
今まで理不尽な扱いを受けて生きてきたわけですから、これは当然のことです。ここでしっかり嘆かないと怒りが出てこないし…、しっかり怒りを感じないと、お腹の底でくすぶって、それが恨み、つらみとなっていくことがあります・・・。ですから、この時期は自分の感情にしっかりと向き合う必要があります。

激しい怒りを感じるときはエネルギーもたくさん使います。そのあと少しボーッとした無気力な状態が訪れます。これは2~3日で収まります。長い場合でも2~3週間で回復してきます。

ACからの回復とは、過去のトラウマの記憶が、現在とこれからの人生に統合されるプロセスを言うのです。つまりバラバラだったり、つぎはぎだったりして断片化していた過去が一つのまとまりを持った人生のストーリーとなっていくプロセスです。そのためにはトラウマの記憶、エピソード、つらい感情や感覚を思い出して「語る」必要があります。それは激しい怒りや悲しみをもたらす作業でもありますが、癒しにおいて乗り越えるべき大切なステップでもあります。

ACの方は、機能不全な家族の中で親を当てにできず、守ってくれる人もいないような環境で生きてきています。ですからこのような癒しさえも、一人で頑張らなければいけないと思ってしまいます。しかし、セラピストは常にあなたの味方です。そして癒しのプロセスを共に歩いて行きます。ですから心配せずに、十分感情を味わい、涙を流しましょう。

トラウマを精算する

心の中にあった「言えなかった言葉」「思い」を言葉にしていきます。 それも、深い深いところに押し込めてしまった「本当の気持ち」です。

例えばある方は、無視をする母親に、本当に望んでいたのは、愛されたいとか、ギュッと抱きしめて欲しいとかそういう事じゃなかった。 「たとえネガティブな反応であっても、とにかく何か反応してほしかった!」という言葉でした。

#

それを言葉にできると、心がス~っと軽くなっていきます。その思いが人生のいたるところでくすぶって、悪さをするのです。それは、反応してくれない人にばかり関わろうとしてしまったりというような、あえて傷つくようなことになって人生を難しくしていたのです。(これが共依存です) そういう“モヤモヤ”や“つっかかり”がなくなって生きやすくなっていくのです。

ステージ3:人生のスキルを学ぶ/健全な人間関係を作る

再誕生した自分の新しい人生、新しい人間関係を作っていくプロセスです。

機能不全な家族・環境の中で学んでしまった、生きにくさを作り出す考え方や感じ方(例えば、白黒思考や完全主義)を、認知行動療法などを使って、もっと楽なものに変えていきます。

子どもは大人が思う以上に周りの空気を良く理解しているものです。お母さんの顔色を読みとる天才です。例えば、すぐに人の悪口を言う母親ならば、子どもは「人は陰で、悪口を言うもの」と学びます。だから人が怖くなってしまうのです。そして母親が何を嫌い、イヤがるのかを理解して、自分はそうならないようにと努力するのです。そのようにして不健全な形を学んできました。

ACの方々には、健全なモデルがなかったということです。
だから健全さを知らなかったのです。
しかし大人になったいま、健全さを分かっていけば、健全な人生を作っていくことができるのです。 よくグループセラピーの場で「大人の対応」と皆さんがおっしゃるように、大人として、社会人として、親として、どう言えばいいのか、どう振る舞えばいいのか、どう考えればいいのかと話合い、さらにロールプレイで練習します。そうやって覚えていけるのです。

健全な自尊心

健全なコミュニケーション

健全な考え方

健全な物事
の捉え方

この4つを磨き、そして体の中にいること 自分を大切にすることです。
そして学んだことや体験したことを実行し、実際に行動・言動を変えていくのです。
「穏やかさ」「健全さ」に慣れていくにも時間は必要です。
焦らずに、進んでください。

健全さとは、“全てにおいて正しい”とか“常にポジティブ思考”ということではなく、“人として人を叩いてはいけない”と言う考えを持てることや、その場に適した考え方を持てるというようなことです。

まとめ

理解

AC(アダルトチルドレン)を理解する・トラウマを理解する
自分に何が起きていたのか、インナーチャイルドはなぜ傷ついたのかを理解する

#

トラウマを明らかにする

自分を縛っていたもの、役割(人間関係のポジション)を知る。
トラウマの影響によって、自分はどんな人になったのか?

#

こころの傷を癒す

グリーフ(嘆く)ワーク

#

トラウマの清算

心の傷み(いたみ)を言葉にして、トラウマを清算する
トラウマの記憶に振り回されないようになる。感情のコントロールができるようになる

#

新しい自分・新しい人間関係を築く

共依存関係(不健全な関係)を解消し、新しい人生のスキルコミュニケーション、心を開いて人づき合いをすること、さらに、自分を大切にすること、)などを学びます。そして、健全な人間関係を持てるように努力する

#

穏やかさに慣れる時間

そのままの自分を生き始める

#

相手を赦す

できれば、トラウマを与えた相手を赦す。(赦すことを目的とはしませんが、自分の中に怒りや憎しみを抱えて生きるのは苦しいことと考えます)
 スピリチュアリティ(自分や他者を大切にする)の高まり

#

学んだことを実行し、実際に行動・言動を変えてゆく

アダルトチルドレンの癒し(回復)は、「育ちなおし」

アダルトチルドレンの皆さんが抱えているその傷みは、家族内で受けてきたトラウマからくる傷みです。
ですから、アダルトチルドレンの苦しさからの回復にはある程度時間が必要です。
焦らずに、あきらめず、じっくりと取り組むことをお勧めいたします。

自分への誤解(間違った自己イメージ)から解放されて、ありのままの自分を受け入れられたとき、「私はOKだ」を持てるようになり、心の安らぎとご自分の大いなる可能性を見出すことができるでしょう。

ぜひ一度ご相談ください。
ご予約・お問い合わせ
03-5355-7055
受付時間:10:30~18:30(月・木定休)

清里ワーク

安堵のため息、そして感動… 生き直しの3日間 短期集中ワーク インナーチャイルドワーク

この短期集中ワークではグループで3日間寝食を共にすることによって、ありのままの自分に戻ることを目指します。そしてお互い相手認め合うこ とにより一体感が生まれ、絆を深めていきます。ここで感じた仲間の存在と安心感は、その後の癒しの道にも確実にプラスにな り、意義ある魂の出会いが起こります。

セラピスト紹介

アダルトチルドレンカウンセラー 外川智子

外川智子(とのかわ ともこ)

1952年生まれ

オフィスTヒーリングセンター代表
ACカウンセラー・サイコドラマセラピスト
透視カウンセラー・ヒーリングセラピスト

アダルトチルドレンカウンセラー 大橋佐知子

大橋佐知子

1974年生まれ

透視カウンセラー・ヒーリングセラピスト

外川智子著書

「対人関係の傷みを癒す」~アダルトチルドレンと愛着障害~

なんとなく怖い…「対人関係の傷みを癒す」~アダルトチルドレンと愛着障害~


著者:外川 智子
定価:1,540円(税込)
発行:㈱パブラボ

人は人によって傷つくけれど、 人は人の中で癒される」 ~アダルトチルドレンからの回復

「人は人によって傷つくけれど、 人は人の中で癒される」
~アダルトチルドレンからの回復  オーラに現れるトラウマを癒す~


著者:外川 智子
定価:1,430円(税込)
発行:メディアート出版

「あなたの一番になりたくて」~AC(アダルトチルドレン)と対人恐怖~

「あなたの一番になりたくて」~AC(アダルトチルドレン)と対人恐怖~


著者:外川 智子
定価:1,430円(税込)
発行:現代書林

「私は私をあきらめない」~家族トラウマを超えて~

「私は私をあきらめない」~家族トラウマを超えて~


著者:外川 智子
定価:1,650円(税込)
発行:メディアート出版

誰もがみな幸せになっていい:アダルトチルドレンの痛みを癒す

誰もがみな幸せになっていい:アダルトチルドレンの痛みを癒す(Kindle)


著者:外川 智子
定価:1,100円(税込)
発行:22世紀アート