心地いい人間関係のつくりかた【第3回 「楽な家族、無理のない家族」とは?】

皆様、こんにちは。オフィスTヒーリングセンターの外川(とのかわ)です。

なぜ、生きにくさは生まれるのでしょうか?

前回のお話しに登場したM子ちゃんや、お母さんの機嫌を取る女の子のように、小さなころから周りに気を遣い、子どもが子どもとして生きるのを脅かすような、安全でない環境の中で育ってきたことがその子の生きにくさに繋がります。

自分らしい人生を創造するために

心地いい人間関係のつくりかた

第3回 「楽な家族、無理のない家族」とは?

親、子、関係なくお互いに優しく想い合える関係性が大切

尊重するってどういう態度の事?

健全に機能する家庭を作るために必要なこと、それはやはり、家族のメンバーがお互いを一人の人間として尊重し合うことです。

「なぁんだ、そんな簡単なことか」と思われたでしょうか。しかし、知っているから実践できるとは限りません。

ある日のセッションでも、クライアントさんがおっしゃるには「先生は、いつも、自分を大切にしてね」と言うけれど、「自分を大切にするっていうことが、実際どうすればいいのかわからない」と。

そうなんですよね。自分を大切にするとか、人を尊重するって、実際にはどうすることなのか分からないのですよね。そういう方はとても多いです。

*例えば、

食事の時に、子どもがコップを倒してしまった場面を想像してみてください。ファミレスなどでこんなお母さんの声を耳にしませんか?「あー、ダメね~」あるいは「あー!バカね!~!よそ見してるからよ!何やってるの!こんなに汚しちゃって!」「もう!気をつけなさい!!」

では、もし友人が同じことをしたらどうでしょう。食卓で粗相をするのは決して子どもだけではありません。おそらく「あら、大丈夫?」「服は濡れなかった?気にしないで。おしぼりもらいましょうか」など、相手を気遣った対応をするはずです。

このように、自分の子どもに対しては多くの人が「躾」という名のもとに、平気で否定的な言葉を投げつけています。

そうしたキツイ言葉の裏には、おそらく「子どもを甘やかすのは悪い親だ」という考えがあるのかもしれません。さらには、「自分がダメな母親と思われたくない」。

あるいは、日ごろのストレスがこういうところに出てしまうことは多くのACの家庭でみられます。それは「八つ当たり」。

子どもを尊重するどころか必要以上に傷つけているという現実があります。

クライアントのお一人が「私は日ごろのストレス、イライラを子供にぶつけていました。そうやってストレス解消をしていたんですね。」「でもこれは躾なんかじゃなくて、ただの八つ当たりです」と話されました。そこに気づければ、変わっていけます。自分も大変だったんだと自分の苦しさを受け入れて初めて、心が開け、変化が訪れるのです。

トラウマは家庭の中でも形成される

「何で怒られているのか分からなかった」「私の話や気持ちを聞いて欲しかった」「叩く理由をちゃんと話して欲しかった」「何が良くなかったのか、どうすれば良かったのか、教えて欲しかった」

日々のカウンセリング・セッションで、クライアントさんたちは、親への気持ちをこんな言葉で表現されます。

否定的な言葉で子どもをキビシク叱責し、それをバネにさせるようなしつけ方は,むしろ子供の心を深く傷つけていることが良く分かるでしょう。

大人だって、けなされるより褒められた方がやる気が出るものです。しかし、そんな大人達でも我が子を目の前にすると、つい自分の所有物であるかのように扱ってしまう。

こんなことが日常的に起きているように思います。

クライアントさんたちのオーラを視ていると、親から言われた否定的な言葉によって傷ついた部分には、濃い青色が視えます。恐れの青です。その色がどこにあるのかによって、その方に何があって何を恐れているのかが分かってきます。

この恐れ(傷みの記憶)は、その恐れに取り組まない限りオーラに張り付いたままです。

それはその人にとって、生き方の癖、考え方、感じ方の癖になってしまいます。そしてそれは、人との関わり方やコミュニケーションに関わってきます。

傷みの記憶はその人を恐がらせ、そこを迂回して進む人生の道を歩ませてしまいます。これが「生きづらさ」ですね。素直に自分の思いのままに進むのを阻害してしまいます。

その人本来の人生が展開するのを妨げるのです。

災害や事故によるトラウマとは異なり、こうした「家庭内トラウマ」は、本人でさえ自覚しずらいものです。

しかし、子どもの心の傷は、日々確実に蓄積され、「生きづらさ」が作られていきます。

これが家庭内トラウマの深刻さです。そして、絵にかいたようないい家庭に見える家の「いい子」ほど、苦しんでいるというのが「家庭内トラウマ」の実情でもあります。

あるクライアントさんがおっしゃったのは、「逆に、殴る蹴るといった目に見える暴力があったなら、もっと早く気づけたのに…」「うちには目に見える暴力はなく、ただただ苦しさがあっただけなので、これも精神的に圧迫される暴力なのかと分かるまで、なかなか気づけず、自分を責めて生きてきてしまった」と。

出典:飛鳥新社 アネモネ2004年8月号 54ページより

21世紀の家族のキーワード

「いい子が危ない」という警笛が発せられてから久しいですが、いまだに子どもによる事件が起きると、「なぜ?一見問題のない家庭の子が…」と識者のコメントが発表されます。

確かに物質的にも満たされ、両親の対外的、社会的地位も高い家庭は「何の問題もない」ように見えるでしょう。

しかし、外からは見えない「家族の関係性」に目を向けると、初めて多くの謎が解けてきます。

家庭の中で気持ちが通い合っているでしょうか。家族が皆、安心して生活しているでしょうか。互いに関心を持っているでしょうか。こうした両親の関係性の質に子どもは決定的に影響されます。

両親の間で、ちゃんと相手の言葉を聞き、押し付けず、命令せず、支配せず、同じ次元で語り合えるような関係が構築できていれば、子どもは知らず知らずのうちにその関係性を学んでいくことができます。

しかし、子どもが実際に見たことも聞いたこともないことを実践できるわけがありません。

また、人は自分が扱われてきたように人を扱います。つまり、親に否定的な言葉をかけられて育った人は、自分の子どもにも同じことをするようになることが多いのです。

なぜなら、誰かから尊重されるという経験もなければ、そうしたコミュニケーションの方法があることも学んでこなかったからです。

母親の我慢は、有害無益

そうしたコミュニケーションが希薄な家庭で、子どもが孤独感を抱くのはもちろんのことですが、そもそもその家庭の中心にいるお母さんは、本当に幸せだと言えるでしょうか。

しばしば「子育ては我慢よ」ということを聞きますが、我慢して良妻賢母をやってきたお母さん程、そのツケを子どもで払おうとしてしまいます。

人間は、我慢したことをそのまま自分で背負えるほど強くはありません。いつしか「自分はこんなに我慢したのだから」と、今度は自分より弱い人に我慢を押しつけてしまいます。

しかしこれは、「お母さんを責めること」というより、そのお母さんこそ「癒されるべき人」ということなのです。実は、そのお母さん自身も無意識で子供に当たってしまっているのです。なぜなら、自分自身もそのように育ってきたからです。そうするのが当たり前になっていて、自分が虐待していると気づいていないのです。

自分が八つ当たりをしていたとお話しになったクライアントさんのように、癒しの取り組みを始めてようやく分かってくることなのですね。

さらに最近はこんなケースが増えています。

お母さんが、一生懸命愛情を注いで子育てしたと思っても、実際には、夫や子どもの為だけに生きているような場合、そばで見ている娘が摂食障害になったり、息子が暴力をふるったりするのです。

実は、こうした症状は「自分の人生を生き、自分の人生の喜びを知って欲しい」という、お母さんへの必死のメッセージなのです。

そこで、お母さんが自分自身の抱えている問題に気づいて変わり始めると、子どもも徐々に変化し始めます。

一方、お母さんがそれを認めようとしない場合、子どもはいつまでも言葉に出せない苦しみを過食や拒食、暴力によって表現し続けなければなりません。

クライアントの多くの方々は、イライラして怒る母親に苦しんで、生きにくさを持つにいたるのですが、それでも「お母さんが可愛そうに見えて、何とかしなければと思っていた」とおっしゃいます。

家庭内が安定していないことが、子どもの生きにくさに大きく影響しています。

例えばあるお母さんは、ご自分がうつ状態になり、さらにお子さんが不登校になり、もう、1人ではどうにもならないとご相談にいらっしゃいました。そしてカウンセリング・セッションを受け始めました。

それまで一人で抱えてきたご自分の苦しさに向き合い始め、少しづつ、苦しさを吐き出していきました。するとまず変化が起きたのはお子さんでした。

お母さんに話しかけるのが増えてきたのです。そして嬉しそうに「最近のママは明るくなったね」と言われたそうです。 イライラして、怒りっぽくなったお母さんは怖くて近づけずにいたけれど、不満がいっぱいのお母さんをみて心を痛めていたのですね。

良妻賢母はもういらない

21世紀は、物質ではなく関係性の豊さが家族を幸せにする時代であると思います。

このような新しい価値観の中で、私たちが目指す家族像とは、自由で風通しのいい家庭です。

母のため、子のためにと自分を縛り付けることなく、親子双方にとって無理がなく自由に皆が出たり入ったりできる安全な場所です。

そんな家庭を作っていくために、まずお母さんが周囲の目を意識した「良妻賢母」をやめ、多少いい加減だったとしても夫婦関係を充実させるよう、自分の人生(日々の在り方)を見直すと良いでしょう。

良妻賢母などというと、とっても古い考えのように思えますが、こうした考えは、自分の母親を通して、祖母の時代の考えが今も続いているということです。

良妻賢母を言い換えるなら、「完璧主義で、他者の目、周りの評価を気にする人」のことです。

母親というのは、「栄養のあるご飯を手抜きせずに、毎日手作りすること」この考えに縛られているお母さん方は、あるいはお父さん方は実に多いのです。

お母さんはそれが上手にできない自分を責め、お父さんは、そんなお母さんに文句を言う。

一度立ち止まって、そんな良妻賢母でなければならないという考えに縛られている自分に、目を向けてみてはいかがでしょう。

自分の成育歴や育った過程で学んできた人間関係のつくり方はどうだったか振り返ってみるのです。

これは、決して楽な作業ではありませんが、これに立ち向かえる勇気を持った人こそが、自分の心からの求める生き方にたどり着けるのだと、多くのクライアントの皆さんの癒しに取り組む真摯な姿を見てそう確信しています。  

そして家族の皆が、安心して自分のままでいて大丈夫な、楽で無理のない家族を目指してみませんか。

参考例:45才 夫と子ども2人(中学生)のお母さんのお話し

私は、清里ワークに行く必要を感じていましたし、皆さんのお話を聞くと楽しそうで、自分も清里へ行ってみたかったんです。

でも、夫や子供のことが心配でなかなか踏ん切りがつかなかったのですが、思い切って参加しました。

清里にいる間は毎日心配で電話をかけていました。

清里ワークの3日間を終えて帰宅すると、夫と子供たちで夕飯を作って待っていてくれました。部屋の中はヒッチャカメッチャカになっていると思ったのに、キチンと片付いていました。

自分がいない間どうしていたのかと聞くと、3人で協力してお掃除や洗濯、食事作りもしたそうです。

夫からは「子どもたちと関わる時間は楽しかった」と「子どもたちとの距離が縮まった気がする」と感謝されました。「また出かけていいよ」と言ってくれました。

そのクライアントさんは、自分が考え違いをしていたと気づきました。

子どものことも夫のことも抱え込みすぎていました。「これからはもっと相手を信頼して 過保護にならないように、そして自分ももっとしたいことをしてみよう」と思われたそうです。

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外川智子先生

次回のテーマは、自らの人生を見つめる方法について、お話しさせていただきますね。

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【私は私をあきらめない~家族トラウマを超えて~(外川智子 著)】はこちらからご注文いただけます。

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清里ワーク

安堵のため息、そして感動… 生き直しの3日間 短期集中ワーク インナーチャイルドワーク

この短期集中ワークではグループで3日間寝食を共にすることによって、ありのままの自分に戻ることを目指します。そしてお互い相手認め合うこ とにより一体感が生まれ、絆を深めていきます。ここで感じた仲間の存在と安心感は、その後の癒しの道にも確実にプラスにな り、意義ある魂の出会いが起こります。

セラピスト紹介

アダルトチルドレンカウンセラー 外川智子

外川智子(とのかわ ともこ)

1952年生まれ

オフィスTヒーリングセンター代表
ACカウンセラー・サイコドラマセラピスト
透視カウンセラー・ヒーリングセラピスト

アダルトチルドレンカウンセラー 大橋佐知子

大橋佐知子

1974年生まれ

透視カウンセラー・ヒーリングセラピスト

外川智子著書

「対人関係の傷みを癒す」~アダルトチルドレンと愛着障害~

なんとなく怖い…「対人関係の傷みを癒す」~アダルトチルドレンと愛着障害~


著者:外川 智子
定価:1,540円(税込)
発行:㈱パブラボ

人は人によって傷つくけれど、 人は人の中で癒される」 ~アダルトチルドレンからの回復

「人は人によって傷つくけれど、 人は人の中で癒される」
~アダルトチルドレンからの回復  オーラに現れるトラウマを癒す~


著者:外川 智子
定価:1,430円(税込)
発行:メディアート出版

「あなたの一番になりたくて」~AC(アダルトチルドレン)と対人恐怖~

「あなたの一番になりたくて」~AC(アダルトチルドレン)と対人恐怖~


著者:外川 智子
定価:1,430円(税込)
発行:現代書林

「私は私をあきらめない」~家族トラウマを超えて~

「私は私をあきらめない」~家族トラウマを超えて~


著者:外川 智子
定価:1,650円(税込)
発行:メディアート出版

誰もがみな幸せになっていい:アダルトチルドレンの痛みを癒す

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著者:外川 智子
定価:1,100円(税込)
発行:22世紀アート